小学1年からずっと野球をやってきた野球少年な息子氏が、中学では野球はやらない宣言してきた。
チームのエースであり、副キャプテンを務め、さらに某選抜チームに抜擢されたこともあるくらいなので、周囲の誰もが当然のように野球を続けると思っていたし、母である私もそう思っていた。
「え?なんで?」
「やらないのはもったいないよ」
「続けたほうがいい」
などなど、監督やコーチ、それからチームメイトの父などからものすごく言われていたけど、彼の意志は揺らぐことなくそれはもうあっさりと野球を辞めた。
その理由は・・・
坊主なんかぜってーヤダ!
だそうです。
野球>坊主にはならなかった
小学生のチームは髪型自由だったから良かったけど、クラブチームに入ったら坊主にしないとたぶんダメ。
だから以前からクラブチームには入らないと言っていた。それは知ってた。
「だってハゲじゃん。ぜってー無理!」
ハゲじゃなくて坊主な。
いやでも中学の部活動なら坊主じゃなくても良かったはず。なんで部活ですらやらないんだ?
そう思って他に野球を辞めたい理由があるのか聞いてみた。
「どんなに頑張って投げても打たれたら点を取られちゃうし、フォアボール出すと相手チームにラッキーとか言われてすげーむかつく。」
ほうほう。なるほど。エースピッチャーとしての重圧か。そりゃあそうだろう。見ているほうも毎回気持ち悪くなるくらい緊張するんだから、本人のプレッシャーは相当だったに違いない。
「ピッチャーが嫌だったの?」
「いや?ピッチャー普通におもしろいよ。」
「???じゃあなんで??」
「土日友達と遊びたいし、あとはやらされてる感がすごくてあんまり楽しくなかった。」
野球をやらされている感
やらされてる感・・・か。
これはわたしが反省しなければならない点。
息子氏の1試合での投球数は約80~120くらいだったと記憶しているのだけど、少しでもボール球を減らすことができたら精神的にも肩にとってもいいんじゃないかと考えて練習をさせていた。
きっとこれがやらされている感だったのかもな・・と。
小1の時に友達に誘われて野球の体験に行き、帰ってくるなり「オレすばらしいって言われたから野球やりたい!」と、キラキラした目で言ってきて、そのあとも何度も何度も野球をやりたいと私にお願いしてきた息子氏の情熱を、もしかしたら私が潰してしまったのかもしれない。
もしそうだとしたら申し訳なかったな。
それに・・野球部に入部したとしても、坊主を断固拒否しているのであれば高校では野球はやらない選択をおそらくするだろうし。
だったら今度は何も言わずに好きなスポーツを好きなようにやらせてあげよう。
野球から陸上へ転身の準備
息子氏は自分の足の速さを自覚していて、中学では陸上の短距離をやると言っていた。
そのために短距離用のスパイクと練習用のシューズ、それからシューズケースが必要になり、ひぇ~・・と思いながら(だってスポーツ用品て高い)買いに行った。
案の定、ひぇ!?と思う値段のものばっかりだけど、どれも走りやすいように靴に角度が付いていて、靴底にビーズが入っていたりエアー(?)が入っているような、いかにも走るために設計されたシューズが並んでいる。
息子氏は嬉しそうにスパイクを片っ端から試し履きしては「すげぇ!」と連呼していたけど、わたしは出費が痛いな~・・なんて考えながら遠くを見ていた。というか遠くに行っていた。んで石川啄木を思い出してた。
働けど働けど猶わが生活(暮らし)楽にならざりぢっと手を見る
By石川啄木
いいんだけど。子供のためだから。
しょうがないよ。やりたいって言うんだから。
お母さんがんば・・・ん?
そこには1万円くらいで買えるシューズが!
ありがとう!スポーツオーソリティ!
息子氏は高いスパイクがご希望だったけどスパイクは消耗品なので、スポンサー権限でねじ伏せ購入。2~3か月でダメになるであろうものにそんなに出せませんよ、まったく。
で、なぜか希望のスパイクを諦めたのだからプロテイン買ってという謎理論でプロテイン買わされて帰ってきた。
やる気満々だ。新しいことを始めるのが嬉しくてしかたないみたい。
よかったねぇ。頑張ってね。
走ってばっかり
陸上部に入部して元気に部活動に励む息子氏。大会とか出ないのかな?なんて親ばかにも思っていたのだけど、ある日深刻な表情で陸上を辞めたいと言ってきた。
「なんで?どうしたの?いじめにでもあった?ケガ?」
「いや違う。陸上さ、走ってばっかりでつまんない。」
「は?」
「でさ?やっぱ野球部入るから新しいバット買って!」
「は?」(なんだこいつなに言ってんだ)
あぶない。心の声が駄々洩れするところだった。。
「この前友達と野球やったら楽しかったから。ママだって野球やったほうがいいって言ってたじゃん。それに好きなことやっていいって言ってたし。」
「それはそうだけど・・ちょっと意味違う・・。」
走ってばっかりってなんだ。陸上の、しかも短距離走なんだからそりゃそうだろうよ。
「退部届置いとくから書いといてね。」
「えぇ~!?」
マスオさんのように驚く母を知らんぷりして外で素振りを始める息子氏。
・・・まぁいいか。肩を休めていたと思えばね。